第2回シンポジウム
「令和時代の避難を考える
~昭和・平成の災害を越えて」報告

令和防災研究所は、2020年9月22日(火)、御茶ノ水ソラシティ・カンファレンスセンター(東京都千代田区)において、昨年に続きシンポジウムを開催しました。感染症対策のため、検温実施、マスク着用、人数制限で実施され、会場参加者は89人(パネラー等関係者を含む)、リモートによる参加者は90名でした。シンポジウムは、令和研による「避難行動に関する研究」(令和元年度受託研究)の成果報告の一環として行われました。

シンポジウムは「令和時代の避難を考える~昭和・平成の災害を越えて」というテーマのもと、はじめに廣井悠・令和防災研究所アカデミックフェロー(東京大学大学院工学系研究科准教授)が「避難研究の経緯と情報の対象範囲に関する一考察~令和元年東日本台風における避難情報の特徴~」と題して基調講演を行いました。
廣井氏は昭和、平成、令和の各時代における避難情報の概要をふりかえり、「メディア、科学技術の発展に伴い情報が多様化、細分化され、災害のたびに用語が変化し、高度化してきた」と指摘しました。
次に研究所のアカデミックフェロー(AF)、エグゼクティブフェロー(EF)、所長、事務局長、計8人から、次の各テーマで発表が行われました。

◇加藤孝明AF(東京大学生産技術研究所教授)「避難十避難十避難について思うこと」
◇中林啓修AF(国士舘大学防災・救急救助総合研究所准教授)「ポスト避難の重要性」
◇早坂義弘EF(東京都議会議員)「いつ・どこへ・どうやって」
◇橋本 茂EF(日本防災士機構事務総長)「感染症拡大期における防災士の活動について」
◇成澤廣修EF(東京都文京区長)「新時代に求められる避難所の3密回避」
◇玉田太郎EF(防災士研修センター代表取締役)「避難所の停電時に備える事前対策」
◇河上牧子事務局長(令和防災研究所主任研究員)「マンション防災のトレンド~風水害対策」
◇青山 佾所長「避難行動と住民・行政・メディアそしてインフラ整備の課題」

この後、休憩をはさんで青山所長をコーディネーターとしてパネルディスカッションに移りました。
避難に関しては避難情報、避難行動、避難場所、避難所と課題が多く、パネラーからは三宅島全島避難をはじめとする過去の事例や、広域避難のオペレーションの必要性、昨年の台風15号、19号の際に浮き彫りになった事項など活発な意見が相次ぎました。また、場内参加者から質問票を受け付け、その多くに対してパネラーが回答する時間も設けました。
感染症拡大防止の環境下で種々の制約はありましたが、参加者からは「もっと話を聞きたかった」「学者、行政、議会、民間とさまざまな立場からの話が聞くことができて非常に新鮮だった」「避難問題は難しい。今日の話をヒントに改めてじっくり考えたい」等々の感想がきかれました。
本シンポジウムへご来場・ご視聴頂きました皆様、どうも有難うございました。