所長挨拶

ご挨拶 発足にあたって

令和防災研究所長 青山 佾

2011年3月、東日本大震災直後に支援に入った宮城県で私は複数の外国メデイア特派員から質問を受けました。「欧米ではこういう場合、社会が秩序を失って略奪や暴行が蔓延する。日本ではなぜそうならないのか」というのです。その後、海外で実施された防災や危機管理のシンポジウムやカンファレンスの際にも何度か同種の質問を受けました。

私の取りあえずの回答は「日本人は長い年月にわたって繰り返し災害に遭遇してきた。その都度助け合って対応し復興してきた。そういう習慣が社会に根付いている」というものです。相手は「度重なる災害は欧米も同じだが、欧米ではそういうときに日本と違って社会の秩序が保てないことが多い」と言います。そこで私は「日本では欧米と違って地域に深刻な宗教対立や民族対立がないから地域単位で助け合う風土がある」と答えます。

もっと的確な答があるかもしれません。いずれにしても、災害に対しては、政治、行政、経済、科学そして地域の市民の知恵と経験の総合力を発揮して対応するほかありません。

平成の30年間、日本の社会は、多くの地震、水害、噴火の被害を受けました。それに対して、悲しみや苦しみを抱えながらも関係機関や人々が協力して対応してきました。私たち令和防災研究所は、これからも発生するであろう災害に対して、少しでも被害を減少させ、少しでも復旧・復興を適切に行っていくため、現実に役立つ研究を志向しています。

関係者の皆様からのご意見や情報提供を頂きながら研究を進めて行きたいと考えています。どうぞよろしくご指導のほどお願いいたします。